クレジットカードの広告・契約にあたっては、
取引条件を表示し、書面を交付する必要があります。
広告の表示や、書面交付にあたってクレジット会社が
守らなければならないルールについて解説します。
クレジットカードにもいろいろな種類のものがあり、仕組みや違いなどを理解することが難しくなってきています。
しかし、そうだからといって、支払いの方法や手数料率などの取引条件がわからなければ、思わぬ負担を課されたりすることがありがちです。
また、広告がなされていても、重要なことが書かれていなければ、判断の材料になりません。
複雑なしくみになればなるほど、広告の方法や内容が適正なものであり、また取引・販売条件などは必要な範囲で十分に示されることが必要になってきます。
このため、割賦販売法では、消費者に十分な判断材料を提供して、契約をしようとする意思が正しく形成されるように、販売条件と広告の表示を義務づけています。
ここでは、どのようなルールが設けられているのか、ご紹介します。
広告をする場合には、重要な取引条件はすべて記載しなければなりません。
(割賦販売法3条4項、29条の2項・4項、30条4項、5項)
また、広告は一括表示が原則です。
有利な条件だけを記載し、不利な条件を隠して広告をすることは認められません。
(違反は10万円以下の罰金となります。同法53条2号)
いわゆる、都合のいい部分だけを取り出す、「つまみ食い」広告は認められません。
取引条件の表示と書面の交付についても、割賦販売法が規定しています。
また、1984年に行われた割賦販売法の改正で、割賦購入あっせん業者(信販会社、クレジット会社)が、証票等(クレジットカードのことです)を利用者に交付するとき(総合割賦購入あっせん。同法2条3項1号)は、通産省(現・経済産業省)令で定める内容にしたがって、表のような内容の取引条件に関する事項を記載した書面を交付しなければならなくなりました(同法30条1項、4項)。
リボルビング方式の場合も、表のような内容の書面交付が必要となります。
(同法30条3項)
さらに、同法では、総合割賦購入あっせんの場合、割賦購入あっせん業者は、購入者が「指定商品」、「指定権利」、「指定役務」 (割賦販売法の対象となるのは、同法および経済産業省令で指定された商品等に限定されています。これを「指定制」といいます)を購入する場合には、支払総額、各回の代金の支払額、支払いの時期および方法などを記載した書面の交付を必要とします (同法30条の2・1項、4項)。
リボルビング方式の場合も、購入した商品の現金販売価格、弁済金の支払方法などを記載した書面を交付しなければならないことになっています。
(同法30条の2・2項、3項、4項)
割賦購入あっせん関係販売業者(加盟店など)も、販売時に現金販売価格、商品の引渡し時期、契約の解除に関する事項などを記載した書面を交付することになっています (同法30条の2・4項)。
このように割賦販売法は、取引条件を明らかにするためにいろいろな規制を行っています。
これは、現代社会において「契約」がおかれている状況を考える良い材料となっています。
人が契約を守らなければならない根拠については、かなり以前からいろいろな考察がなされてきました。
近代的な解答は、人が契約に拘束されるのは、自分でそれを望んだからである、という点におかれます。
つまり、「欲したがゆえに拘束される」のです。
自分の意思により、自分を拘束するのです。
ですから、契約には意思が不可欠の要素とされます。
このため、意思の形成や決断は、個人の自由で自主的な状況が確保されたところでなされる必要があります。
ところが、現代の社会では、電気やガス、銀行、保険などを例にとるまでもなく、個々の市民がそれぞれの契約内容を自主的に決定できるような状況がほとんどありません。契約の内容はあらかじめ事業者側が勝手に決めてしまっています。
ここでは、契約に拘束される根拠が失われつつあるのです。
このような状況では、契約内容は一方的に決定され、消費者はこれにただ従うだけという契約が普通になってしまいます(「附合契約」といいます)。
附合契約では、当事者間の交渉過程がなく、契約内容を適正なものとするための保障がありませんから、法律などによりこれを補充する必要がでてきます。
2001年4月から施行された「消費者契約法」は、不当な条項を規制する規定を設けていて、後からこの条項は不当だと文句を言える根拠が明確になりました。
また、割賦販売法の取引条件の表示、書面の交付、広告の規制などは、消費者の選択が適正になされるように、そのための条件を準備するという意味をもっているのです。
現代社会では、消費者の利益をどのように確保していくかが重要な課題となっています。
ひとつの方向が、選択の可能性を保障することです。
消費者が、ある商品を現金で買うのか、割賦にするのか、ローンで買うのかなどを決定するには、それぞれの条件が明らかにされていることが必要です。
しかも、それらの条件は、適正に表現されなければならないでしょう。
つまり、割賦販売法の広告や取引条件に対する規制は、信用の選択(ショッピング)をするための比較の材料を開示させ、契約意思が適正に形成されるようにし、契約の申込みや締結があれば、その意思を再確認させるために、書面の交付を必要とするのです。
右のような目的を達成するためには、取引条件の表示が、クレジットカード会社によりバラバラであったり、重要な事項が表示されなかったりすることを防止しなければなりません。
つまり、消費者にみやすいばかりでなく、わかりやすく、誤解を与えないような表示が必要となります。
割賦販売法施行規則では、標準用語とその定義を定め、これにしたがって用語を用いることを義務づけています。
(同法施行規則一条、一条の二、一条の三など)
たとえば、「現金価格」という用語は「商品の引渡し若しくは権利の移転又は役務を提供する契約の締結と同時にその代金又は対価の全額を受領する場合の価格」という定義のもとに使用する、というようになっています。
重要事項については、たとえば、金利(利率)の表示があります。
信用取引では、金利がいくつかある信用供与形態のうちのどれを選択するか決める場合の重要な判断材料となります。
また、金利の表示が完全になされていたとしても、算定方式が統一されていなければ、比較し選択することができません。
たとえば、アドオン表示により金利表示をすると、これは当初の元本を最後まで借り続けていたものと仮定して計算された金利ですから、実際に負担する金利に対していちじるしく低く表示されることになります。
このため、現在は、アドオン表示ではなく、実質年率での表示が要求されています。
実質年率は、表示事項のなかの「割賦販売の手数料の料率」(同法3条1項4号など) のことです。
手数料となっていますが、割賦販売価格と現金販売価格の差額を意味します。
これは、実質的には金利ですから、手数料の料率とは、消費者が負担する金利の率のことをいいます。
実質年率による統一的な表示がなされれば、自分の受ける信用について、他の借用と比較してその利害や特質を選択・判断することが可能となります。
また、表示については、活字の大きさも規定されています(同法施行規則一条二項三号など)。
なお、割賦購入あっせんの手数料には利息制限法の適用はありません。
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