詐欺罪における故意性について

クレジットカードショッピング枠現金化は、
刑法の詐欺罪に該当する可能性がありますが、
詐欺罪が成立するためには、故意が必要となります。
どのような場合に、故意があると認定されるかを検討します。

詐欺罪における故意性について

クレジットカードショッピング枠現金化が、詐欺に該当するか否かを具体的に検討していく前に、故意について少しだけ補足しておきます。

故意性が要件とされることの根拠は刑法38条にあります。
「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。」なんて書いてあります。

例えば、

XさんがYさんにお金を借りたとしましょう。
4月12日に100万円を借り、5月1日に50万円を、6月1日に50万円を返済すると約束しました。

パターン1
Xさんは始めから金を返すつもりなど無く、4月12日の夜中に行方をくらましてしまった。

パターン2
Xさんは返すつもりがあり、5月1日には50万円を返済したが、5月10日に会社が潰れてしまい、6月1日には返済する当てが無くなってしまった。

パターン1は詐欺罪が成立します。仮に詐欺罪で起訴されて「騙すつもりは無かった。」と訴えても裁判所は認めないでしょう。

パターン2は詐欺罪にはなりません。罪を犯す意思がないからです。結果的に金は返せなくなりますが、民法上の債務不履行の問題として処理されるだけで、犯罪ではありません。

詐欺罪の故意性について、詐欺罪の適否を分けることになる重要な論点がもう一つあります。

刑法学では故意の事を「犯罪事実を認識してその内容を実現する意思をいう」などと申します。

クレジットカードショッピング枠現金化のホームページはどれを見ても、堂々と合法的な商売だと謳っていますので、詐欺師としての自覚が欠けているようです。

どうやら自分達の犯罪事実を認識していないようなのです。

ご本人達の主観と他者からみた客観との間に、認識のズレがあるわけです。
このような認識のズレを「錯誤」と呼ぶのですが、この錯誤にも2種類あり、それぞれ

などと称しています。

「事実の錯誤」とは、具体的な事実の勘違いを意味し、「法律の錯誤」とは違法行為を適法行為と勘違いしていることを意味します。

具体的な事実の勘違いとはどういう状態かといえば、アンパンをカレーパンと間違えたとか、そういう状態です。こういった「事実の錯誤」は故意性が無いとして、処罰されないことになっています。

しかし、詐欺の自覚がない詐欺師の皆さんは、自分たちがどういう行為を行っているのか、事実は認識していらっしゃるようなので、「法律の錯誤」の状態にあることになります。

実のところ、裁判所の皆さんは、このような勘違いには非情に厳しい立場を取っており、"故意の成立に違法性の意識は必要無い"と辛口の判断をしています。

結局、実際にやっていることが詐欺なら、本人が詐欺だと思っていなくても詐欺罪として処罰されることになります。

さて、実際にやっていることが詐欺にあたるかどうかの判断、つまり「事実の錯誤」に該当するのか「法律の錯誤」に該当するのか、その線引きはあいまいです。

「統一的に理解することはほぼ不可能である。」と断言している刑法学のテキストもありますので、これ以上は立入ません。


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